歯科人間ドックの趣旨と内容

人間ドックには体の部位に対応したさまざまな種類のものがありますが、最近では「歯科人間ドック」とよばれるものもあらわれており、全国の一部の歯科医院や大学病院などで実施されています。この「歯科人間ドック」というのは、口腔内の病気の早期発見や病気の予防を通じて、心身の健康維持を図ろうとする目的で実施されているものです。具体的には、歯科医師による虫歯や歯周病のチェック、エックス線検査、歯並びやかみ合わせの検査、歯磨き時の磨き残しの検査、唾液の検査などからなっており、自由診療扱いではありますが、数万円程度の出費で受診することが可能です。虫歯は痛みなどの自覚症状がなく進行することもあり、放置しておくと神経を抜かなければならないような大事になってしまうこともあります。

また、歯周病についても歯ぐきから膿が出たり、歯がぐらついたりといった症状があらわれることがあり、こうした病気が悪化してしまった場合、原因となる雑菌が血液を通じて身体の各所に拡散して、心臓病や脳卒中、肺炎などの別の新たな病気を引き起こしてしまうこともあります。このように、歯の病気は歯だけにとどまらず、全身にも及ぶ危険性をはらんでいるものであり、「歯科人間ドック」によってそうした危険性をあらかじめ排除しておくことは重要であるといえます。この分野で活動している全国の歯科があつまり、日本歯科人間ドック学会も設立されており、学会の登録施設であれば確実に受診することができます。